これは母の日の後日談です。
今年の母の日は本当に大変だったと思います。
単に時間や労力の問題だけでなく、GWと母の日が融合することによって人々の動向がどう変わるのか、その結果として商品販売数はどう変化するのか、例年恒例のトレンド探索以上に読めない中での仕入れから始まったわけですから。そして期間中、いろいろなエピソードがありましたが印象に残ったものをひとつ。
母の日も終わりに近づいた日曜日の夕方、予想以上に出た定番の赤カーネ(赤いカーネーション)が切れてしまいました。そんなときある少女が、お母さんとの約束を果たそうと赤カーネを求めてご来店したのです。
販売終了の返事に落胆する少女。
しかし実際には、仕入れの段階で花が不ぞろい(株は良好)という理由でハネてしまった商品が、バックヤードにはありました。
さて、そこで担当者は考えます。
ハネた赤カーネは、後で「ご自分用」として安く売りさばく品物です。その旨少女にお話し、安くお譲りすれば少女も安心、面目も保てます。
しかし、それを受け取ったお母さんはどう思うでしょう。花に心得のある人だったら(何とひどい店なんだ)と思うかもしれません。いや、あるいは店の厚意と受け取ってくれるかもしれないし、何も感じないかもしれません。
さてさてどうする???
少女の気持ちに応えるか、商品の品質にこだわるか・・・。 これはマニュアル云々の問題ではなく、スタッフのひとりひとりが自分の心で考えるべき問題だと思います。 ・・・・当店のスタッフは、結局販売しませんでした。
実は、このエピソードを聞いてとても安心した次第です。
正解はわかりません。
ただ、そういったスタッフひとりひとりの対応がその店の文化となり、その文化に誇りが持てるかどうかの問題なのだと思います。
********************************
ところで、この少女はどうなったのでしょうか。
もちろん代替品を勧めるようなことはしていないはずです。
近くの花屋さんに確認して紹介するというのが一法かと思いますが、実際には彼女は自分で探しに行ったそうです。

ウニ